「カグラバチ」は、外薗健(ほかぞのたける)による日本の漫画作品。ジャンルは剣戟アクション。
作者は手塚賞出身で、連載デビュー1作目の新人。2023年9月19日発売の『週刊少年ジャンプ42号』から連載が開始された。
あらすじ
六平チヒロは、父・六平国重のような立派な刀匠となるべく日々修行を積んでいた。国一の刀匠である国重はどこかズレた言動をする手のかかる人物だが、チヒロはそんな父の面倒を見つつも幸せな日々を送っていた。
しかし、ある出来事を境に幸せな日常は無惨にも壊され、チヒロは妖刀・淵天を手にし妖術師組織「毘灼(ひしゃく)」との戦いに身を投じる事となる…。
登場人物
六平 チヒロ(ろくひら ちひろ)
六平チヒロ(ろくひらちひろ)は、本作の主人公。クールな態度を取るが面倒見がよく根は優しい青年。だが、信念なく刀を振るう者や毘灼に関した事となると残酷な一面を見せる。
左のこめかみから頬にかけて大きな傷跡があり、仇に対する新鮮な憎しみを毎日得られるようにあえて綺麗に治すのを止めている。
15歳までは、日常生活での父の言動に呆れながらも共に楽しく過ごし、父親と並ぶくらい立派な刀匠になることを夢見ながら修行に励んでいた。
しかし幸せな日々は突如終わり、妖術者集団「毘灼(ひしゃく)」が六平家を襲撃して国重を殺害。父が保管していた6本の妖刀も奪われてしまう。
それから38ヶ月後、チヒロは1本だけ残された妖刀・淵天(えんてん)で悪人達を斬り、仇である毘灼を執念深く追うようになっていた。
チヒロは、妖刀の目撃者情報を得たというナナオに、幼い少女シャルと引き合わされた。シャルとやり取りしている内に「刀から雲が出る妖刀」の話を聞くが、国を股にかける武器商人・双城厳一によって妖術師の刺客を立て続けに送り込まれる。
それら全てを返り討ちにしたものの、妖刀・刳雲を持った双城に襲撃され、双城の仲間にシャルを奪われてしまう。

六平国重(ろくひらくにしげ)
普段は周囲の人間を呆れさせるような言動を取るチヒロの父親。しかし国で最も有名な刀匠で刀作りには誰よりも真剣に向き合っており、そうした態度が息子のチヒロからも尊敬されていた。
独自の加工法で妖刀を作り出せる唯一の人物で、7本の妖刀を生み出している。これらの妖刀が斉廷戦争(せいていせんそう)を終結に導いた。
国重は3年2ヶ月ほど前まで、チヒロの成長を見守りながら結界の張られた自宅と工房で刀作りに精進していた。しかし、3人の妖術師の襲撃で殺害され、6本の妖刀が強奪されている。
チヒロが使用している妖刀・淵天は、戦後に長い年月を掛けて製作され、国重が毘灼から命に代えて護ったもの。
死後、終戦記念に国重の生涯の軌跡を紹介した特別展が行われ、大勢の人が終戦に貢献した功績を讃えるほど英雄視されている。
柴(しば)
長身で金髪、関西弁を喋る男性。国重・薊の旧友であり妖術師。神奈備の元構成員。
国重死亡後は、チヒロと共に妖術師集団・毘灼を追っている。
普段から緊張感のない態度を取っているが、ヤクザの死体が山のように散らばっている修羅場でも表面上はいつも通りの軽口を叩く。旧知の仲の薊には、ざっくばらんな態度で接している。
斉廷戦争で戦地に行っており、戦後は六平家の住居と工房の結界に異変があれば柴が感知するようになっていた。
ヤクザの追放運動をしていた青年を守った際や、シャルを救出した際には妖術で瞬間移動をしている。ダルマの手を数珠で縛って札を貼り、妖術を使えなくもした。
広範囲の床に亀裂が入るほど強くダルマの足を踏みつけているおり、足には瞬間移動する時と同じ線が描かれている。
双城は、神奈備の5人の精鋭部隊よりも柴と薊の方が数段実力が上と捉えている。

薊(あざみ)
神奈備で、階級は大佐以上。国重・柴と旧友。
中央から少しずらした位置で髪を分けて、右目を隠している。黒髪。
堅苦しく慎重なものの考え方をし、そういったところを柴に敬遠されている。
俊敏な身のこなしを見せており、7話では妖術を使わずに妖術師を倒した。線状の電気のようなものを指で摘まむ素振りを見せたが、敵が降参したため妖術の能力は判明していない。
国の脅威となる淵天を確保する義務があるが、事情を考慮してこれまでチヒロを見逃してきた。
10話で双城は、5人の神奈備より薊と柴を危険視していた。

萩原幾兎(はぎわらいくと)
神奈備の精鋭で薊の直属の部下。
双城を討伐するために編成された対刳雲特選部隊の隊長を務める。
メガネを掛け、側頭部・後頭部を剃り上げており、背中まである髪を三つ編みにしている。
直属の上司・薊の友人で、元神奈備の柴を君付けで呼ぶ生意気さを持つ。一方で、双城から市民を守りシャルを助けようとするチヒロに救出の許可をだす一面もある。
ヒナオ
喫茶店ハルハルで妖術師との契約の斡旋をしている。
チヒロのクールな性格が好きらしく、チヒロの淡白な態度を見ると喜ぶ。チヒロと子供にはやさしく接するが、一方で声がでかいオッサン(柴)にはぞんざいな態度になる。
天然なところがあり、小さな子どもであるシャルの発言を真に受けて、チヒロ達を呼びつけた。
10話でシャルを拉致しようとした双城の仲間に襲われ、血だらけで倒れた姿が描かれていたが、一命はとりとめた。
鏡凪シャル(きょうなぎしゃる)
変わった言動を取る小さな少女。妖術師の護衛を雇える喫茶店・ハルハルに助けを求め、チヒロたちと出会った。
「悪者に追われてて」「最強の刀を持ってる」と拙い言葉で妖術師を雇おうとするも、ヒナオ以外には子供のおふざけと捉えられ相手にされなかった。
しかし、孤児であることに同情したチヒロが食事を取らせていたところ、本当に妖術師の襲撃が起こる。
シャルは鏡凪(きょうなぎ)の一族で、体の傷を再生させる特殊能力を持つ。長い間、劣悪な環境で監禁されてた過去があり、母親は上記妖術師の一味からシャルを守ろうとして亡くなっている。
シャルの境遇に同情した上に彼女には護衛が必要であり、妖刀を追うチヒロとの利害が一致したため、2人は行動をともにする事になった。しかし、シャルはハルハルを襲撃した双城の仲間に捕まってしまう。
双城の仲間はシャルのことを「材料」と言っている。
六平家を襲った三つ編みの妖術師
国重を襲った妖術師の内の一人だが、名前は判明していない。
「ハットをかぶり、羽織の下にシャツを着てネクタイを締め、長い三つ編みを左肩にかけている」という独特の格好をしている。
右の目は白目があるべき部分が真っ黒で、小さな白い瞳が描かれ、左手の甲に炎の文様がある。ヤクザの背後について上納金を受け取っていた。
「勇気は多くの場合、無知から湧き出るもの」と言い、ヤクザ・爻龍組(こうろうぐみ)の追放運動をしていた青年が妖術を知って怯え、妖術を初めて見たことを確認すると納得して去っていった。
また、ヤクザの親分の体に術を仕込み、毘灼について聞き出そうとした者を抹殺しようもとした。これは大規模な術で、柴は「術者は相当の手練れで間違いないぞ」と言っている。
双城厳一(そうじょうげんいち)
国を股にかける武器商人で、女子供も平気で殺傷する残酷な人物。十年以上も神奈備のブラックリストに載っている裏社会の大物。
妖刀・刳雲(くれぐも)の所有者であり、妖刀・真打を楽座市に出品しようとするなど毘灼と強い繋がりがある
ダルマを雇ってシャルをさらわせようとしたり、淵天とシャルを奪ってくれば「いくらでも払う」といって東京中の妖術師にチヒロ達を襲撃させた。
その後、シャルの拉致を失敗したダルマを粛清しており、妖刀同士で戦うため喫茶店ハルハルを襲撃する。チヒロと激しい戦闘をした末に、到着した柴・薊との戦闘を避けるため「降(こう)」で目眩ましをし逃亡。シャルは双城の仲間が拉致した。
双城は、雫天石と鏡凪一族のシャルの細胞を使って、妖刀を超える新たな武器を作ろうとしている。
膂力がチヒロよりも数段上で「錦」にも対応し、刳雲を預かって一週間でその能力を平然と使っている。ただし、溜めありの高出力「鳴」の後にインターバルがある事は知らず、刳雲の能力の詳細を把握してはいなかった。
双城は自分勝手な解釈で六平国重の信念を理解したつもりになっており、自分だけが国重の理解者だと思い込んでいる。国重の一番の理解者であるチヒロに対しても「…何も分かってないよ」「お前は」と言って断じた。

ダルマ-円法炸(まどかのりさく)
ネクタイとシャツの上に修験者を思わせる上衣を着ている、双城が雇った妖術師。
だるまを物質化して爆破する「不落」と、手から紐状のものを物質化して人を拘束する妖術を使う。
シャルを捜索していた人物で、チヒロを護衛と勘違いし、「不落」でそば屋を爆破した。
一度捕まえたシャルを奪い返されたので、彼女の逃げる気力を失わせるために、死亡した母親のことを侮辱しながらチヒロを見せしめに殺すと煽っている。しかしチヒロに敗北した。
その戦闘後に拘束され、柴に妖刀について尋問を受けた。あらかた情報を吐かされた後は、柴に違った生き方を見つけろと助言され、妖術師を辞め更生することを決意する。
だが、双城に「仕事をまっとうしなかったツケ」として、更生することを打ち明けた姉と母親を殺害された。
その際、腹を刺された姉ごと自爆したのだが、刳雲の能力で凍らされ時間間隔が狂っていたため双城を巻き込むことはできなかった。ダルマは姉が死んだと勘違いしていたが実はまだ息があり、ダルマの自爆がとどめを刺した形となっている。
用語
妖刀(ようとう)
独自の加工法で妖術を刻み込まれ、特別な力を発揮する刀。妖刀は六平国重のみが作り出すことができ、斉廷戦争時に6本を世に出している。
戦争終結後には6本全てを回収し、六平の工房地下に隠していた。戦後に製作したのは妖刀「淵天」だけで、7本の妖刀はそれぞれ別種類の能力を発現できる。
妖刀は込めた玄力を増幅させ、人の身体で生成・保持不可能な程の超高密度に練り上げる。その妖術師を超えた玄力の塊は、むき出しとなって形を為す。
妖刀の能力は凄まじい威力であり、チヒロは帯刀したヤクザ数十人を淵天の「涅(くろ)」の一撃で斬り伏せた。戦地で戦った柴は「こいつ(国重)の作った名刀達が戦いを終わらせたと言っても過言じゃないからな」と讃えている。
妖刀の本領
妖刀には「本領」があるらしいが詳細は不明。
6話では、「妖刀の本領」を発揮した破壊規模の大きな雷や爆発などの画が一コマだけ描かれている。
六工(ろっこう)
淵天の前に作られた6本の妖刀を指す語と考えられる。
淵天(えんてん)
斉廷戦争終結後、長い年月をかけて最後に完成させた7本目の妖刀。国重が「毘灼」の襲撃から命に代えて護り、現在はチヒロが使用している。
淵天の存在を知っているのは、神奈備や柴などごく一部の人間のみ。
鞘から刀身を少しでも出すと、空中に水と金魚が投影され、3匹ある金魚はそれぞれ違う能力を持っている。
「涅(くろ)」
黒い出目金の能力「涅(くろ)」は、飛ぶ斬撃。玄力そのものを飛ばし、自分から離れた対象を斬ることができる。
2話では、ドス黒い出目金が尾を伸ばしながら纏わりついた状態で、横一文字に涅を飛ばした。その時、離れた場所にいたものを含む数十人の体を一撃で上下に両断している。
「猩(あか)」
赤い金魚の能力「猩(あか)」は、吸収した能力を使えるというもの。チヒロが「不落」を吸収した際には、相手に切っ先を向けて「猩 不落」と言うと吸収した不落と同じ爆発が起こっている。
「錦(にしき)」
3色の金魚の能力で、一挙手一投足に高密度の玄力が上乗せされる。それによって攻撃力と速度が通常時よりも数段上がる。
刳雲(くれぐも)
刳雲(くれぐも)は、3つの属性を司る妖刀。能力使用時には雲の龍が現れる。双城は刳雲使用前に体を温めているため、使用すれば体がかなり冷える可能性がある。
「鳴(めい)」
「鳴(めい)」は雷の属性。壁に大穴を開けるほどの電撃を正面に放つことができ、全方位放電で広範囲攻撃をすることも可能。
溜を作った高出力の「鳴」を撃った後は、数十秒のインターバルを置かなければ次の「鳴」が撃てない。
「結(ゆい)」
「結(ゆい)」は氷結の属性。人刺して凍らせる、正面を数メートルに渡って凍らせる、周囲に大きな茨のような氷を展開して敵の接近を妨害・感知することができる。
また、刺されて結で凍らされたダルマは、数秒間から数十秒間意識が停止させられたような描写がされた。
「降(こう)」
雲のような煙幕を出して、目眩ましに使うことが出来る。
真打(しんうち)
能力の詳細は不明。
闇の競売が行われる「楽座市」に双城が出品するという。
雫天石(だてんせき)
斉廷戦争時に発見された妖刀の原料となる特殊鉱石。未だ250kgしか確認されていない。
雫天石に込めた玄力は増幅し、人体では生成保持出来ないほど高密度になる。そうすると込めた者の体内にまで高密度の玄力が流れてしまい、体が張り裂けて死んでしまう。
雫天石の力を安全に使うための安定化は、歴史上で六平国重ただ1人しか成功していない。
双城は上記安定化の鍵が鏡凪一族の細胞だと考え、シャルの肉体を使って新たな武器を作ろうとしている。
双城は「(この雫天石を使えば)一時的に妖刀と同等の力が使える」と反社会組織の者を騙して実験台にしているが、欠陥があったため使用した妖術師は破裂している。
妖術
玄力から構築された術で、体外で玄力を物質化して発現させている。死ぬほどの努力すれば誰でも扱うことが可能だという。
結界に侵入者があると感知する、瞬間移動、達磨を物質化して爆発させる、秘密を漏らすと対象者を抹殺しようとするなど、妖術師によって能力の特性が違う。
岩垂(がんすい)
神奈備の精鋭が使った妖術で、岩の壁を作り刳雲の鳴を防いでいる。
不落(ふらく)
ダルマが使った妖術。「不落(ふらく)」と口にすると達磨が物質化され、それが爆発する。
結界
六平の住居と工房は、結界によって守られ隠されていた。そして、何か異変があると柴が感知できる用になっていたという。
玄力(げんりょく)
妖術を構成する生命エネルギー。全ての人間の中に眠っている。
妖術師
上記の超常的な力を使う術師のこと。妖術師の殆どは都会にいて、地方ではあまり見かけない。
毘灼(ひしゃく)
国重を殺害し6本の妖刀を強奪した妖術師組織。現在判明しているのは、4年ほど前から少しずつ動きを見せていることだけ。少数精鋭の妖術師集団との情報もあるが定かではない。
構成員で判明しているのは六平家を襲った3人のみで、それは三つ編みの妖術師・女性らしき人物・武者姿(足だけしか写っていない)の人物。
国重殺害後は大した動きを見せてこなかったが、楽座市で妖刀を使って何か大事を始めようとしている。
神奈備(かむなび)
国に雇われている妖術師。または、その集団。
戦後に発足し、国の脅威となるものを排除する目的で組織されており、個人的な問題には関与しない。
大佐以上の神奈備は私服で活動している。
鏡凪(きょうなぎ)一族
傷ついた体を再生させる特異体質がある一族。
「鏡凪一族の肉を食えば不老不死になれる」というガセネタのせいで殆どの者が殺されている。作中で生存が確認されているのはシャルのみ。
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