「圧巻」の意味の間違い【誤用・使い方・例文・言い換え】

意味の誤用
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「圧巻(あっかん)」「圧倒(あっとう)」「壮観(そうかん)」の意味・違い

圧巻の正しい意味

○ 全体の中で一番優れた部分。

圧巻の間違った意味

× 段違いに優れた力を持っている。また、その力で相手を凌ぐ。段違いの力で他を押さえつける。

圧倒の正しい意味

○ 段違いに優れた力を持っている。また、その力で相手を凌ぐ。段違いの力で他を押さえつける。

壮観の正しい意味

○ 壮大な素晴らしい眺め。また、そのさま。

 「圧巻(あっかん)」は「全体の中で一番優れた部分」という意味です。ですから、「段違いに優れている」という意味の「圧倒(あっとう)」と同じ使い方をするのは誤用になります。

 「圧巻」と「壮観(壮大な素晴らしい眺め、またそのさまの意)」を混同する人も多いですが、「壮観(そうかん)」には「全体の中で」という意味が含まれていません。意味が違う言葉なので、適切に使い分けましょう。

 「圧巻する」「圧巻した」という使い方も誤用であり、「~は圧巻だ(だった)」「圧巻なのは(だったのは)~」「圧巻の~」という形で使われることが多いです
 また「圧観」や「圧感」は誤字で、「あつかん」「あつまき」という読み方も間違っています。

「圧巻」「圧倒」「壮観」の使い方・例文

 「圧巻」は、「全体の中で」「一番優れた部分」という2つの条件に当てはまった時だけ使える言葉です。
 この2つの条件を意識して「圧巻」と「圧倒」「壮観」を取り違えないようにして下さい。

 「圧倒」には「全体の中で」という制限がないので、「圧巻」よりも比較する対象が広いです。
 また「圧倒される」のように、「段違いの力で押さえつけられる」という意味の使い方があります。

 「壮観」は主に景色に対して使う言葉で、やはり「全体の中で」という条件を見落として誤用されることが多いです。

 「段違いに優れている」だけなら「圧倒」、「壮大な素晴らしい眺め」だけなら「壮観」、「全体の中で一番優れた部分」なら「圧巻」を使うようにしましょう。
 下の項目に書いてある「圧巻」の類義語(見所・山場・ハイライトなど)と置き換えてみると、誤用か否かが分かりやすいと思います。

「圧巻」の例文1

○ハイレベルな試合内容だったが、圧巻なのは終盤に見せたトリプルアクセルだ

 「ハイレベルな試合内容」が「全体の中で」、「終盤に見せたトリプルアクセル」が「一番優れた部分」に当てはまるので正用です。

「圧巻」の例文2

○さっき見た映画、かなり面白かったね。中でもエンディング直前のアクションシーンは圧巻だったわ

 「さっき見た映画」が「全体の中で」、「エンディング直前のアクションシーン」が「一番優れた部分」に当てはまるので正用です。

「圧巻」の例文3と、「圧倒」の例文

× サムライブルーが圧巻の勝利を収めました!

○ サムライブルーが圧倒的な勝利を収めました!

 上の例文は「全体の中で一番優れた勝利を収めた」という意味になりますが、「全体」が何を指すのかよく分からないため誤用です。
 「サムライブルーが圧巻のプレーで勝利を収めました!」なら「今大会中、一番優れたプレーで勝利を収めた」と捉えることもできます。

 下の例文は、「段違いの力で相手を凌ぎ勝利を収めた」という意味になるので正用です。

「圧巻」の例文4と、「壮観」の例文

× この展望台から眺める風景は圧巻だ。

○ この展望台から眺める風景は壮観だ。

 上の例文は「全体の中で一番素晴らしいのは、この展望台から眺める風景だ」という意味になりますが、「全体」が何を指すのかよく分からないため誤用です。

 ですが、「今回の旅行では色々な景色を見たが」という具体的な言葉を前に置けば、「今回の旅行で見た景色の中で、一番素晴らしかったのはこの展望台から眺める風景だ」と解釈できます。

 下の例文は「この展望台から眺める風景は、壮大な素晴らしい眺めだ」という意味となるので正用です。

「圧巻」の類義語・英語表現

類語

出色(しゅっしょく)・見所・見せ所・見せ場・山場・クライマックス・佳境・ピーク・さわり・ハイライト・呼び物・山場

英語表現

・best part of(~の一番良い部分)
・highlight(見所・呼び物)
・climax(山場)

「圧巻」の語源・由来

 中国の故事成語が「圧巻」の由来で、「圧」は上から押さえること、「巻」は官吏登用試験の答案用紙をのことです。
 中国の官吏登用試験(科挙)は受験者が数日間も論述で回答する形式だったため、答案用紙が何枚も積み上げられました。
 当然、採点する側にも大きな負担が掛かるので、最も優れた答案用紙を一番上に置いて、受験者の一番良い部分が一目で分かるようにしていたといいます。
 この積み上げられた答案用紙の山を最も優れた答案用紙が上から押さえつけた事から、「圧巻」という言葉が生まれました。

 その後、書物の中の一番優れた部分を圧巻というようになり、転じて書物以外の作品や催し物にも使われるようになりました。

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