「中抜き」の誤用『中間業者のピンハネという意味ではない』

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「中抜き(なかぬき)」の意味・誤用・ピンハネとの違い

○中間業者を抜かして、生産者と消費者が直接取引をする。
×中間業者がピンハネする。中間業者が上前をはねる。

「中抜き(なかぬき)」の本来の意味は「中間業者を抜かして、生産者と消費者が直接取引をする」ですから、「中間業者がピンハネする。上前をはねる」という意味で使うのは誤用です。 つまり「中抜き」の意味は、「中間業者が抜く(上前をはねる。ピンハネする)」ではなく、「中間業者を抜く(なくす)」なのです。

しかし最近は、旅行代理店・卸売業者・派遣会社などの中間業者を、☓の意味で「中抜き業者」「中抜き企業」と呼ぶ人が増えてきています。一方「中抜き現象」は、○の意味「中間を抜かして直接取引をする」で使われています。

また、「中間業者が抜く」と「中間業者を抜く」は反対の意味ですから、「中抜き」を使う側と聞く・読む側のどちらかが誤った認識だと、真逆の意味で伝わってしまいます。 そうした誤解を避けるためには、前後の言葉をしっかり選ぶか、類義語に言い換えるようにしましょう。

ピンハネ(ピン撥ね)の意味・語源

ピンハネの語源は、ポルトガル語の「pinta(点の意味)」という説があります。

日本では、賭博に使われるカルタの札や賽の目などの一をピンと呼ぶになりました。そこからピンは「一部・一割」を意味するようになり、更に「賃金・代金の一部か一割。上前」の意味が加わり、「ピンをはねる(賃金・代金の一部か一割をかすめ取るの意)」という言い回しを「ピンハネ」と略すようになったと考えられています。

「誤っているとされている意味は昔からあった」という指摘もある

 

「中抜き」を使った例文・使い方

「中抜き」は「中貫き」と表記することもできます。また、「中を抜き取る」「中間を省略する」「植物を間引いた後で再度間引くこと」という意味でも使われますが、○の「中間を抜かして直接取引をする」の意味で使われることが殆です。

○ 自宅近くに野菜直売所が出きたので、農家直販の中抜きされた野菜が買えるようになった。
○ネットショップでの中抜き価格を見ると、実店舗で買い物をする気がなくなる。
○中抜きしたおかげで直接取引ができるようになり、商品価格を大幅に下げることが出来た。
○ 中抜きには、「中間業者が担っていた付加価値がなくなる」というデメリットがある。
×広告代理店がアニメの制作費を中抜きしている。
×原子力発電所の作業員は給与を中抜きされていた。
×元請けから受け取っている日給18000円のうち、8000円を親方が中抜きしているらしい…。
×中抜き業者が搾取するから、いつまでたっても安くならない。
×何もせずに売上金の一部をかすめ取る中抜き企業。
×二重派遣で給料が中抜きされていたので、労働局に相談することにした。
×今回の調査で外国技能実習生の給与の5割近くが、組合と送り出し機関に中抜されていることが分かった。

※☓の「中抜き」は誤りで、「ピンハネ」「上前をはねる」が正しい。

「中抜き」の類語・言い換え表現・誤った意味を表す言葉・英語表現

類義語・言い換え表現 直接取引・直接販売・直販・産地直送
誤った意味を表す言葉 中間搾取・中間搾取構造・ピンはね(上前をはねる)・上前をはねる(取り次いで人に渡さなければいけない賃金・資金の一部をかすめ取ること)
英語表現 disintermediation(中抜き・中間業者をなくす)
英語表現 skim off a percentage(ピンハネ)
英語表現 take a cut(上前をはねる)
英語表現 take a commission(上前をはねる)

まとめ

ポイント

・「中抜き」の正しい意味は、「中間業者を抜かして、生産者と消費者が直接取引をする」
・「中間業者がピンはねする」という意味で使うのは誤用
・最近は、旅行代理店や派遣会社などの中間業者を、誤った意味で「中抜き業者」と呼ぶ人が増えきた
・正用と誤用では伝わる意味が反対になるため、前後の言葉をしっかり選ぶか、類義語に言い換えるようにする

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コメント

  1. […] 3: 風吹けば名無し ID:fsiNHN+e0St.V 「中抜き」の誤用『中間業者のピンはねという意味ではない』 https://www.toshikoro.com/entry/kotoba-goyou-nakanuki […]

  2. mplrs.com より:

    Exactly!

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