※この記事には、「HUNTER×HUNTER」の最新話までの重要なネタバレが多分に含まれています。
休載を繰り返すのに、何故か人気を維持している
もう1000日以上休載しているにも関わらず人気なハンターハンター、人気な謎を解明するため、我々調査隊はアマゾンの奥地へと向かった――。#冨樫先生どうか続きをお願いします pic.twitter.com/crDMjYXfsz
— ふーりん@28 従兄弟9mon (@xxFu_RiNxx) September 8, 2021
この作品は連載が再開される度に、トレンドに入ったりネットニュースになったりして注目を浴びています。連載再開が話題になるのはハンターハンターに限ったことではありませんが、長期間の休載が何度も繰り返されても大きな期待が寄せられ続けられる作品はそう多くありません。
そもそも不定期での連載が特別待遇と言っていいですし、ラフ画の状態で誌面に載せても売り上げが落ちず、メディアミックスされ続けるのも特異な現象といえるでしょう。というか、普通の作家が同じ事をやろうとしたら普通に打ち切られそうです。
この記事では、ハンターハンターが休載を繰り返すにも拘わらず、高い人気を維持している理由について考えていこうと思います。
【理由1】少年誌で高度な心理描写をしている
#感染爆発 ゲンスルーの能力は小規模爆発のリトルフラワー(一握りの火薬)大規模殺傷爆発のカウントダウン(命の音)捕まえないと救えない。 pic.twitter.com/LLPKeYrJJs
— ブルースレーベル (@HEAVY_SOULz) 2020年4月3日
「ハンターハンター」は少年誌に掲載されているバトル漫画の中では、かなり高度な心理描写を用いており、そうしたやりとり自体が見所となっています。
GI編のゴン対ゲンスルー戦では、緊張感の中で相手の意図をはかる場面と、相手が策にはまっているか否かを汲みとろうとする場面が、バトルを盛り上げる重要な要素となっていました。蟻編では登場人物が増えたため多くの思惑が交錯しましたが、これを余計だったと評価する人はあまりいません(選挙編・王位継承戦編については賛否ある)。
ナレーションを用いたりする長い説明も、何故か冗長な印象を与えず個性になっています。少年誌、とりわけジャンプ作品としては異色な作風といえるでしょう。
【理由2】登場人物が作者の都合で動いているように見えない
登場人物達が各々独立した意思を持つように描かれている事も大きいと思います。例えば、蟻編でピトーはプフとの企みを看破されたと誤解しており、王位継承戦編でクラピカに護衛として雇われたバショウも誤った見方をしていました。しかし、それぞれ本人達の置かれた立場からすると妥当な分析をしていて、状況的に間違うのも無理ないと感じさせる表現となっています。
少年漫画(特にバトル漫画)では、頭の良い者は常に正しい判断を下す、頭の悪い者は常に間違った判断を下すなど、表現が単純化されることが多いです。ですから、「作者の都合のいい操り人形」という印象を与えてしまうことがままあるのですが、ハンターハンターの登場人物達は実在する人間のように自然な言動をします。
小説・映画・青年漫画ならば、巧みな心理描写で受け手の心を掴む作品は珍しくありません。しかし、少年誌掲載のバトル漫画として複雑な感情や情緒を描き、かつ大ヒットさせた作品はそう多くないでしょう。ですから、他作品との替えがきかず、再開が待ち望まれているのだと思います。
【理由3】再読性が高くて飽きにくい
ハンターハンターでクルタ族が暗黒大陸出身とかいうネタ、流石に偶然だと思ってたけど……
もし暗黒大陸の前にクラピカの緋の目ラストバトル、そして旅団の乗船っていう暗黒大陸と関係のない要素をどう繋ぐんかと考えると、クルタ族が絡んでもおかしくない?でも流石に無理がありすぎるか pic.twitter.com/k5SgiwHrZn— 夏藤涼太 (@hondobo) February 6, 2018
ハンターハンターは、深い考察をしなくても面白く読むことができる漫画です。ですが、「丁寧に読むと設定の深さが分かる」「読み返した時に新たな発見をすることもできる」という優れた設計がされている漫画でもあります。
舞台が次々に移り変わるため作品の世界が広く感じられ、各編ごとに戦う理由やハントの目的が違っているのも飽きさせない点です。戦闘も単なる力比べではなく、格上を倒すために策を練る、意外性のある手段で不意をつくなどの多くの工夫がされています。
また、登場人物達は誰も彼もが癖が強い割に、もうコイツは二度と見たくないとまで思うようなキャラが殆どいません。展開や設定についても、読者が離れてしまうほどの決定的に不快なものはないと思います。
上記に書いた点が組み合わさって、少年漫画を好む人にとっての高い再読性を生んでいるのでしょう。
ただしこれは蟻編までの話で、選挙編からは徐々に少年漫画的ではない表現が増えています。選挙編のナニカの設定はやや難解でしたし、王位継承戦編では多くの視点が入り交じって複雑な状況になっていますから、少年漫画好きへの再読性は落ちているといえます(ただし後者は、単行本で一気読みできるようになれば評価を上げる可能性がある)。
【理由4】中年層の心をガッチリ掴んでいる
少子高齢化のこの時代、いくら少年誌とはいえ中年層を全く無視した作品をヒットさせるのは難しいでしょう。「鬼滅の刃」が社会現象になったのも幅広い層にうけたからだと思います。
特に、20年以上前から連載しているワンピースとハンターハンターは、子供の頃にファンになって完結まで付き合おうと決めた人も多そうですね。多分、今更追うのを止められないという心理状態になっているのではないでしょうか。
もちろん、再度アニメ化された際などに新しくファンになった人も多いと思いますが、固定ファンには10代20代からファンを続けている中年層が相当数いそうです。
【理由5】バトル漫画の設定を「念能力」として体系化し・念のシステムを明確に定義した
モラウの紫煙機兵隊(ディープパープル)って便利な能力だよね https://t.co/22kIClRhjt pic.twitter.com/Hzen0BDZBD
— 今旬まとめアンテナ (@tousi2960) September 12, 2017
他作品の設定の影響を窺えるのはハンターハンターに限ったことではありません。しかし、この作品が特異なところは、バトル漫画のよくある設定を念能力として体系化・定義したことです。
念能力のシステムを明確に定義することで能力者・念能力の強さが客観的に計れるため考察されやすく、読者同士の議論も促進されます。この点が他の作品に真似されにくい点で、真似したとしても念能力の設定を超えるハードルは恐ろしく高いでしょう。
また、習得率などの上限が設けられた系統の違いは、ゲームの設定にも似ていて分かりやすいですね。単にゲームの設定のようにするだけではチープな印象を与えてしまいますが、妙な説得力のある念能力の説明や描写が安っぽい印象を与えることを防いでいます。
【理由6】考察に向いた作風から、休載期間に話題にする楽しみがある
漫画ハンター : 【ハンターハンター】クロロがウボォーギンのビッグバンインパクト盗んだらどうなる? https://t.co/RZRunDYL9H pic.twitter.com/6oTbdLWyoI
— HUNTER×速報 (@huntersokuho) 2016年8月16日
上述してきたように考察に向いた作品ですから、休載期間中でもファンはただ待つだけでなくアレコレと話題にして楽しむことができます。何年間も話題にしてもネタが尽きない深い作品世界を作ったことも、再開を望まれる理由の一つでしょう。
【理由7】単に才能がある
意外性・個性・緊張感を持たせているというのも支持される理由ですが、こうした努力は多くの作家が心がけていることですね。多くの作家が心がけている領域で頭角を現したことについては、単に才能があるとしか言いようがありません。
【理由8】作品評価とは別にネタとして楽しんでいる
再開を求める人達は、話の種・ネタとして楽しんでいる節があります。「富樫働け」などと発言すると多くの人たちが反応しますから、そうしたやり取りを楽しんでいるのでしょうね。
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