「足をすくわれる」の誤用・意味
○ 足をすくわれる(あしをすくわれる)
△ 足下をすくわれる(あしもとをすくわれる)
□ 「足をすくわれる」の意味…隙をつかれて、失敗・敗北に導かれる。
本来の言い方とされる「足をすくわれる」は多くの辞書に記載されていますが、誤った言い方とされる「足元をすくわれる」は一部の辞書にしか記載されていません。
「掬う(すくう)」の意味は、「下から持ち上げるようにして払う」です。誤用であると主張する人たちは、「『足下』は足の周辺のことなので、地面や空間をすくうことはできない」という理屈を根拠にしています。
しかし三省堂国語辞典の編集委員の飯間浩明さんは、「『足下』には足先・足の下部という意味があるため、『足下をすくう』ことは可能」との見解を示しています。1947年には戯曲「廃墟(三好十郎)」で「足下をすくう」が使われており、「足をすくう」が使われ始めたのも同時期です。
三省堂国語辞典などの一部の辞書には「足下をすくう」が載っているので、今後他の辞書にも記載されるようになるかもしれません。
ただ、試験などの解答では「足下をすくう」が誤用とされる可能性が高いので気を付けてください。
毎年、文化庁が実施している「国語に関する世論調査(平成28年度)」では、本来の言い方とされている「足をすくわれる」を選んだ人が26.3%、新しい言い方とされている「足元をすくわれる」を選んだ人が64.4%となりました。
「足をすくわれる」の使い方・例文
「隙をつかれて失敗・敗北しないように気を付けろ」と注意を促す場合や、「隙があったから失敗・敗北した」と話したり叱ったりする場合に多く用いられます。
■少し良い点数を取れたからといって余裕綽々でいると、次のテストで足をすくわれるぞ。
■Sさんはいろいろと悪い噂がある人なので、足をすくわれないようにして下さいね。
■10歳も年下の後輩に足をすくわれたと嘆いているが、そうなるような油断をしていたお前にも原因がある。
■不意をついた相手側の奇策で、応援している球団が足をすくわれた。
「足をすくわれる」の類義語
■寝首を掻かれる(ねくびをかかれる)…油断に乗じて、卑怯な計略で陥れられる。
■不意を突かれる(ふいをつかれる)…予想していない時を狙われてしかけられる。
■出し抜かれる(だしぬかれる)…油断や隙に乗じて、先にことをなされる。
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