
世間擦れ(せけんずれ)の本来の意味・誤った意味
○社会で揉まれた結果、世間の表裏に通じて悪賢くなる。
×世間の常識から逸脱している。世間知らず。独自の発想を持っている。
世間擦れ(せけんずれ)は、「世間の常識から逸脱している。世間知らず。独自の発想を持っている」という意味で使われる事が多いですね。しかし、本来の意味は「社会で揉まれた結果、世間の表裏に通じて悪賢くなる」です。
世間擦れの「擦れ」は、「考え方などが標準から外れて食い違う」という意味ではなく、「様々な経験をした結果、純粋さを失ったり悪賢くなったりする」という意味です。前者と後者は混同されやすいので、誤用が定着したのかもしれません。また、「世間知らず(経験が少なく、世間の事情に疎い)」「世間離れ(世間の基準からはずれて超然としている)」という言葉に影響を受けた結果、誤用が広がったとも考えられます。
世間擦れという言葉を話し手と聞き手がそれぞれ別の意味で捉えていても、会話自体は滞りなく進んでいきます。そうなると、お互いが会話内容を誤解したままになってしまうため、前後の言葉をよく選ぶ・言い換えをする等の工夫をした方がいいでしょう。
世間擦れ(せけんずれ)を使った例文・使い方
○数十年ぶりに再会した幼なじみは相当苦労したのか、すっかり世間擦れしていた。
○まだ世間擦れしていない彼を見ていると、初々しい気持ちになる。
×君は世間擦れしてるよ。もう少し社会経験を積んでから出直してきなさい。
×彼女は、甘やかされて育てられたから世間擦れしてるよなぁ。
世間擦れ(せけんずれ)の類語・対義語
世間擦れの類語は、老獪・老猾・擦れ枯らし(すれからし)です。
擦れ枯らし(すれからし)…世間で苦労をして、悪賢くなる。また、その人。
世間擦れの対義語は、世間知らずです。
世間擦れ(せけんずれ)に関する世論調査
平成16年度の国語に関する世論調査では、世間擦れを本来の意味で使った人が51.4%、誤った意味で使った人が32.4%でした。しかし、たった十年程で本来の意味で使う人の割合が35.6%まで下がり、誤った意味で使う人の割合が55.2%まで上がってしまいました(平成25年度の世論調査)。
年代別にみると、年配の世代は本来の意味で使う人の割合が高く、若い世代になるほど本来の意味で使う人の割合が低くなっていくようです。
文化庁が制作した動画
「ことば食堂へようこそ!」第10話 【世間ずれ】
まとめ
ポイント
・世間擦れの本来の意味は、「社会で揉まれた結果、世間の表裏に通じて悪賢くなる」。
・「世間の常識から逸脱している。世間知らず。独自の発想を持っている」という意味で使うのは誤用。
・若い世代になるほど、世間擦れという言葉を誤用する人が増える。若い人と話す時は、前後の言葉をよく選ぶか、言い換えをする等の工夫が必要。
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