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「御の字(おんのじ)」の意味
○とても有り難いこと。望みが叶って、大いに満足していること。
○最上のもの。極上のもの。
×満足していないが納得してもいい。妥協する。
「御の字(おんのじ)」には、「非常に結構なこと」と「最上のもの」の2つの意味があります。ただし現在では、「最上のもの」の意味はあまり使われていません。
「御の字」を「満足していないが納得してもいい」という意味で使う人もいますが、これは誤用です。
「御の字」は、「満足していないが納得してもいい」と妥協を表す時に使う言葉ではなく、「大いに満足した時」「とても有り難いと思う時」に使う言葉です。
例えば「車の修理代が10万円なら御の字だ」という文章は、「修理代が10万円を大きく超えると思っていたのに、10万円で済んで大いに満足した」という意味になります。
また、「御の字」を「恩の字」と書く人もいますが、誤字なので注意して下さい。「恩の字」という言葉はありません。
「御の字」の例文
○この料理すごく美味しいね。たった300円で作ったのなら御の字だよ。
○ 掃除が終わるまでに2時間は掛かると思っていたが、1時間半で終わった。これは御の字の結果といえるだろう。
×今日の小テストで90点は取れると思っていたが、80点取れたからまぁ御の字かな。
×目標のタイムには届かなかったけど、初心者でここまで走れるのなら御の字だね。
「御の字」の類義語・誤った意味を表す語
「御の字」の類義語
意味…満ち足りて不平不満がないこと。また、そのさま。
意味…人の好意や協力に対して、非常に感謝するさま。
意味…苦情を言う余地がないこと。また、そのさま。
意味…望みを達成して喜びを感じること。
「御の字」の誤った意味を表す語
意味…互いに譲歩し合って一致できる点。
意味…試験や検査に合格するのに必要な点。
意味…一応は納得できるさま。
意味…完璧ではないが、一応納得できるさま。まあまあ。
「御の字」の語源・由来
「御の字」は遊女達が使っていた郭言葉(くるわことば)の一つで、江戸初期にできた遊里語です。
「御」は、尊敬の意を表したり丁寧に表現する時に、他の語の上に付ける接頭語です。その「御」を付けたいほど非常に有り難いものという意味で、「御の字」という言葉が使われるようになりました。
国語に関する世論調査
文化庁が平成20年度に行った「国語に関する世論調査」では、「御の字」を正しい意味で使っている人の割合が38.5%、誤った意味で使っている人の割合が51.4%でした。
意味が分からないと答えた人の割合は5.6%なので、多くの人が「御の字」という言葉を日常的に使っていると考えられます。
また、全ての年代で誤用が正用を上回っており、特に誤用の割合が高かったのは16~19歳の年代と60歳以上の年代でした。
まとめ
・「御の字(おんのじ)」の正しい意味は、「とても有り難いこと。望みが叶って、大いに満足していること」と「最上のもの。極上のもの」。
・「満足していないが納得してもいい」という意味で使うのは誤用。
・「御の字」は妥協する時に使う言葉ではなく、満足している時に使う言葉。
・「最上のもの。極上のもの」の意味は、あまり使われなくなった。
・「恩の字」という言葉はない。
・「御の字」の類義語は、「満足」「有り難い」「文句なし」「本望」。
・誤った意味「満足していないが納得してもいい」を表す言葉は、「妥協点」「及第点」「まあまあ」「まずまず」。
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